今回は福岡県に拠点を持つ、物流倉庫である株式会社ワンステップロジさんと、

富山県に物流倉庫を持つ塚本郵便逓送株式会社さんのお互いの倉庫視察から、

その後の座談会の様子を取材させていただきました!

それぞれが徹底する“こだわり”
現場スタッフの意識の高め方は?
「組織の変革期の乗り越え方
この先の物流業界について

をお話していただきましたので、ぜひ最後までご覧ください!

対談者紹介(塚本郵便逓送株式会社)

(塚本郵便逓送株式会社:塚本社長、瀬端さん、坂井さん)

昭和2年より98年間に渡り郵便逓送会社として郵便物の輸送と集配業務に従事。

2017年に4代目である塚本雅彦氏が現代表取締役に就任後、倉庫業を開始。近年ではロジスティクス業務を行う「Tsukamoto Logistics」にて、物流のトータルサポートも行う。

対談者紹介(株式会社ワンステップロジ)

(株式会社ワンステップロジ:中山さん、柿崎さん、内本代表)

2017年、内本正志氏によって設立された福岡県に拠点を持つ物流倉庫。

定期通販の出荷にかかる業務が全体の85%を占め、月間作業量数は最高18万個。
入出庫・在庫管理、商品発送から配送状況管理まで充実したシステムときめの細かいサービスで「最良」「最速」「安心」の物流サービスを実現している。

それぞれが徹底する“こだわり”について

ーまずは塚本郵便逓送さん、ワンステップさんの倉庫を見学されていかがでしたか?

酒井さん:備品の重さを全て把握されていることにまず驚きましたね。

作業中にボールペン一本無くなったってなったら、今日作った案件の重さを計って探すと。あと帽子ね。髪の毛一本入らないように徹底してらっしゃった。普通はそういうの再発防止でやるじゃないですか。

ワンステップさんは今まで一度も異物混入が起きたことないけど、起きてからでは遅いから徹底してると。

それはすごいなと思いました。ボールペンに紐が付いてるのもすごくいいですね!

中山さん:紐は最近パワーアップしたんです!(笑)

ボールペンを紛失する時って、気づいたら無いってことが多いじゃないですか。だったらもうぶら下げてしまえっていうことで最近導入したんですが、おすすめです!

あとおすすめで言うと、うちは絆創膏を青色に統一しています。

(青い絆創膏のイメージ画像)

クライアントさんから「荷物に絆創膏が入っていた」というクレームが入ることって稀にあると思うんですが、その時にうちは青を使っているので肌色の絆創膏だったら「うちではない」って言えるし、信頼関係が守られるので。普通の絆創膏は持ち込み禁止で、絆創膏が必要になったら記録簿に記入してもらうようにしてます。

瀬端さん:ちなみになんですが、倉庫に入るスタッフさんは持ち物の厳守はされてますか?

中山さん:持ち込み禁止の物は伝えてますね。

カッター、ネイル、ピアス、あとスマホですね。お子さんが熱が出てスマホ持ち込みたいとかっていう時は、携帯管理記録っていう許可書を書いてもらう形にしてます。さすがにポーチの中身を見せてとまでは言えないので、全員に持ち込み禁止物を伝えているという形です。透明のポーチとか取り入れるといいかもしれないですね。

酒井さん:透明のポーチいいですね!あと絶対毎日、その日1日のシステム上の数と実際の現物の数を最後に全部数えられてると聞いて。そこまで徹底してやられているのには本当に驚きました。繁忙期なんてすごいチェック量になりますよね。

柿崎さん:そうですね。でもやるって決めたら絶対やらないとダメだと思っているので、繁忙期でも必ずやります。システム上で10個あるものを今日2個出荷したから8個になってるね、じゃあ現場で実際に8個になってるかどうかは確認するようにします。アイテム数が多いので時間はかかるんですが、こうしないと「ミスが起こった時に確認できない」「いつ間違ったのかが分からない」っていうのを防ぐために毎日やることを徹底してます。

ーワンステップさんは塚本郵便逓送さんの倉庫を見ていただいていかがでしたか?

柿崎さん:僕たちが数字として取っていない所まで、すごく細かく数字を取って管理されていることに驚きました。

残業時間を見える化してホワイトボードに貼ってあるとか、それでみんなが残業をなくそうって意識できる取り組みをされてたり。

弊社でも残業がどのくらいあったかっていうのは社員が把握するようにしているんですが、それを見える化はしていなかったので実際働いている当事者たちは自分がどのくらい残業が多いかの感覚が持てていない状況で。

弊社でも数字で可視化するっていうのは導入していきたいと思います。

瀬端さん:僕は今倉庫責任者という立場なんですが、数字で可視化することってすごく大事だと思っていて。

倉庫で働くスタッフさん一人当たりの作業量はどのくらいなのかとか、そういったところって今まではハッキリと見えていなかったんですけど、人をマネジメントする立場として数字を把握していないと現場を動かせない。

例えば倉庫で作業をするスタッフさん一人ひとりの作業スピードや、こなせる案件量を把握できていなかったら、効率的に人を配置することは出来ないですよね。

誰がどのくらいの作業効率なのかっていうのを管理者側が把握することが、現場を作っていく上で大切だと思っています。

現場スタッフの意識の高め方は?

内本社長:先ほどの話で言うと、スタッフさんによってこなせる量に違いが出る理由は何だと思いますか?

元々、倉庫で働こうって入ってくるパートちゃんって、恐らく軽作業だと思って入ってくると思うんですね。

だけど、その人たちが多岐に渡る仕事を覚えようっていう動機になるものって何だと思いますか?

本人の意欲の問題なのか、何か外的要因で動機付けが出来ているのか。そのあたりの原因、要因についてはどのように考えていらっしゃいますか?

瀬端さん:実際にヒアリングした結果が出ていまして、結論、これは本人の意欲の問題だと思っています。

仕事に対して高い意欲を持っている人もいれば、給料が変わらないならやりたくない、責任を負いたくないという人もいるので、完全に組織側でコントロールするのは難しいですね。

なのでこちらとしては、評価制度を導入したりして一人ひとりの意欲を上げられるよう働きかけるしかないと思っています。

内本社長:そこなんですよね。

結局は評価ってお金だと思うんだけど、お金に無頓着な人もいるじゃないですか。

お金になるから評価されたいって動機が芽生える人もいれば、時給1,000円もらえればそれでいい人もいる。人によって違うので、そこが難しいですよね。

瀬端さん:そうですね。こちらが何をしたところで、やらない人は3割位はいるので。そこはどうにもならない部分ですね。なので会社としては、やればしっかり評価をするということを伝えていくしかないと思います。

内本社長:私たちもある意味そうなんですけど、私は一個あたりの生産性が大事だと思っているんです。

一個あたり何秒で出来るのかを追い込んでいく。これが最も生産性向上の指標として分かりやすいから。

例えば一個あたり20秒で作ると決めてしまって、その20秒が正確に毎日とれているなら仮に残業時間が100時間あったとしても、生産性が多いだけだよね。だから別にそれはいい。

でもその20秒に近づけるためには多くのカテゴリーができる人を増やしたいけど、現実的には難しい。人それぞれ考え方が違うから。1番難しいのは人間の教育だと思いますね。

ー人間の教育という部分で、塚本さんが意識的におこなっている部分はありますか?

瀬端さん:私はコミュニケーションが大事だと思っています。

私たち倉庫責任者という立場の人間も、週に1回は現場に入ってコミュニケーションを取る。これは現場を把握するっていう目的もあるんですけど、一人ひとりとコミュニケーションを取って意識を高めてもらえるような声かけをするようにしてます。

何か仕事を任せるにしても、ただ指示を伝えるのではなく、会社の状況だったりビジネスとしての考え方も伝えるようにしてます。

そうすることによって、一人ひとりの意識っていうのも変わっていくんじゃないかと。

組織の変革期の乗り越え方

内本社長:今回塚本さんを見学させてもらって、一番うちとの違いを感じたのは「序列がしっかりしている」というところでしたね。

指示をする人、される人っていうのが明確に分かれている環境だから、作業指示がしっかり伝わる

序列があるかないかって緊張感を与える要素としては大きいと思うんですよ。

うちの場合は、極端に言うとパートちゃんに「お願い」として伝えたものは「聞いても聞かなくてもどちらでもいい」みたいな話に聞こえてしまうところがあって。そこは私が社員に厳しく言うところなんですがね。管

理するとはどういうことなのか、パートちゃんとの普段のコミュニケーションの取り方が違うんだと思うんですね。

ー統治するという考え方とコミュニケーションについて

中山さん:今は私たち管理者も現場スタッフと同じ目線に立って物を考えるっていうやり方を取っています。

というのも、うちの倉庫は数字よりもクライアント様が求めていることにどうやって応えるかっていうことを重きにおいて現場を作っているので、社員も現場に入って同じ目線で物を考えるのが今までのワンステップ

でも今回塚本さんを見学させていただいて、「それじゃダメなんだな」って感じました。

今までは皆が同じ目線、横並びだったので、何か「お願い」をした時に反発があるんです。

柿崎さん:距離が近すぎるので、上司と部下という関係性が取れていないんですね。

本当だったら、上司から言われたことは「はい」で応えると思うんですけど、何か新しい施策を提案したとしても「できない」っていう否定、反発がありますね。

なので管理、組織っていう部分を改善していきたくて、そのあたりお伺いできればなと。

酒井さん:基本的にはうちも同じだと思いますよ。

やっぱり従業員の方っていうのは、どうしたって変化を嫌うものなので。ただ反発があった時に、その理由を聞くのは大事だと思います。その理由がもっともならば意見を汲んであげるべきだし、間違っているのであればそこは指摘しなければダメです。

ただ、恐らくそうした場合、余計に反発すると思います。

「やめる」とかいう方も出てくると思います。でもそれはもう仕方のないこととして受け入れるしかない。

うちはこういう組織だっていうのを伝えて、あなたの上には〇〇さんっていうリーダーがいて、社員がいて、っていうのをちゃんと伝えて、理解してくれる人を少しずつまとめていくしかないと思います。

もし今のワンステップさんの状況でうちと同じことをやったとしても、多分うまくいかないし、うちのやり方が正しいとも言えない。中山さんしか出来ないやり方もあると思います。

ただ、簡単に組織とはどういうものかを伝えるには、ちゃんと基礎を伝えて教育していくことに特化した方がいいんじゃないかと思います。

瀬端さん:うちは組織図を貼りだしたりしてるんですけど、現場のスタッフさんがリーダーを飛び越えて僕に相談してくることがあるんですね。

でも僕は全部「自分のリーダーに相談しろ」って跳ね返すようにしてます。

じゃないとリーダーも育たないし、相談すべきは自分のリーダーだと思ってるので。でもその後に、リーダーに「どうだったのか」っていうのは確認するようにしてます。それは自分の責任だと思ってるので。

塚本社長:僕から少し広い視野でお話させていただくと、僕らの組織がどうやってこういう形になってきたのかっていうと、会社の今までの経緯もあるんですね。

最初は今の中山さんたちと同じで、どうやってお客様から言われた通りにやるかっていうのを目指したんですよ。

結果、お客様が今の僕たちを作ったんです。

新規事業として立ち上げた当時は売上を上げなければいけないので、ある程度大きいお客様を獲得してたんですね。

大きいお客様っていうのは物流経験もありますから、僕らは教えてもらう側。

だけど、段々会社が大きくなるにつれて物流知識がないお客様も獲得するようになると、今度僕らは教える側になる訳です。そうすると、現場は辛くなってくるんですよ。

僕自身、現場の子たちが辛くなるのは分かっていたんですけど、大きな流れは変えなかったのでこの時期が結構辛い時期で。

片方はめちゃくちゃ厳しい案件だけど、片方は結構アバウトな案件っていう状態になるとバランスが保てなくなって超離職率が増加したんです。

その時に僕は「どうしたらいいか」じゃなくて、その状況を受け入れて忠実に向き合った。

向き合っていくうちに勝手に会社の方向性が決まっていって、勝手に組織化していった。

会社が強くなっていかなきゃいけないのがそのタイミングで、その時にちゃんと人と向き合っていけば同じ志の人と出会っていくから。

僕は今のワンステップさん見ていて、1番辛い時期に突入した時なのかなと思ったし、僕はその時代をやってきて、ちゃんと明るい出口が待ってるからって思ってます。

この先の物流業界について

塚本社長:これから先の近い将来、EC事業は365日稼働していく時代に入っていくと思うんですね。

僕たちとしてもそろそろ社内で考えなきゃいけないよね、っていうタイミングに入ってきてるなって思ってるんです。そのあたりどうですか?

内本社長:塚本さんも元々運輸業だからそうだと思うんですけど、僕自身、別に365日、日曜祝日は休まなきゃっていう感覚はあまりないっていうのもあるんですが、もしお客さんからのオーダーがあったら「受けろ」って100%言うでしょうね。社員数もある程度いるし、交代で出来るだろうと予想できるしね。

あとは大事なのが実働するパートちゃんがどう思うかっていうところはありますよね。日曜に出るのも躊躇する人が多いから。今も土曜日出てくれる人にはお金という評価をするしかないんだけども、でも土曜日出る人って極端に偏るよね。これが日曜祝日になると労働力の確保が難しいと思います。

だから極論、社員で出来る数の出庫数なら100%受けるし、そうじゃなければ労働力が確保できたらやるだろうね、っていう感じですね。

塚本社長:そうですね、同じくです。

今後これは多分求められるようになるだろうなっていうのはすごく感じる部分ですね。

内本社長:あとは2024年問題ですよね。

いわゆる長距離運行が難しいとか、人間が人間らしく生きていこうみたいな働き方改革の理念が定着していこうとしているこの時に、物流業者達がどういう風にラストワンマイルを考えるべきなのかっていうところですね。

恐らく拠点集約して一気に日本全国に飛ばすっていうのは、流動タイムの部分だったり、人件費をメインとしたコストの部分だったりで、合わない時代がそろそろ来るなと感じています。

やっぱり中規模よりも小さい事業者の方こそ拠点分割で、EC事業でやれるような組織作りをするっていう意味で、ぱんどらさんがやっていることっていうのはすごく時代に合ってるんじゃないかなと思うところがあるんですよ。

なのでこの2024年問題によってですね、ひとつ物流業界にとって大きな変革が求められる時代になるだろうと。ここをどうしていくかっていうところが、物流業界の大きなポイントになるでしょうね。

株式会社ワンステップロジのみなさん、
塚本郵便逓送株式会社のみなさん、本日はありがとうございました!