アパレルEC業界では、撮影・採寸・原稿の頭文字をとった「ささげ」という用語があります。

インターネット上での通販は商品の魅力を端的に伝え、購入意欲を掻き立てる必要がありますので、ささげの良し悪しが売上を左右するかもしれません。

ささげの撮影・採寸・原稿の内容とポイントについて、まとめました。

アパレルECのささげとは

ささげとは、「さ」撮影、「さ」採寸、「げ」原稿の頭文字をとった言葉です。

ECサイトではユーザーが直接商品を手にとれないので、商品の良さを伝えるための手段となるのがささげです。

商品の情報やサイズ表記はもちろん、どのようなシーンで使用するのかといった具体的なイメージを膨らませて、購買意欲を高めます。

「さ」撮影

ささげの「さ」撮影について詳しくご説明します。

単純に商品を撮影するだけでなく、商品の魅力を引き出す撮影方法や画像加工までが含まれます。

  • 商品撮影(物撮り)の方法
  • 撮影のポイント
  • 画像加工について

商品撮影(物撮り)の方法

商品の撮影をするアパレル業界の「物撮り」には、以下のような方法があります。

モデルモデルが商品を着用して
マネキンマネキンが商品を着用して
吊りハンガーに吊るして
置き商品を置いて
イメージテーマに合わせたイメージを演出

モデルが着用すると商品着用時のイメージが伝わりやすく、同時にコーディネートの提案も可能です。

マネキンはシンプルな商品の良さを伝えたい時に向いていて、シルエットを引き立たせてくれます。

マネキンの胴体部分のみをトルソーと呼び、上半身のみの撮影の際に使用します。

吊りは生地のドレープを綺麗に演出できるので、カットソーやブラウス、ニットなどでよく用いられます。

雑貨や小物は置きで撮影され、商品の風合いを伝えます。

イメージは背景や小物にもこだわった方法で、商品の情報だけでなく、使用シーンや合うテーマが伝わるような撮影方法です。

アパレルの特集ページでよく用いられます。

撮影のポイント

撮影のポイントを理解し、商品の良さをわかりやすく伝えられる写真を撮影しましょう。

商品の詳細情報を伝える

撮影の基本として、まずは商品の詳細情報をきちんと伝えるという点を意識しておきましょう。

ユーザーが手にとった時に「イメージと違う」というように困惑させないよう、素材や裏地、サイズ感や特徴のある装飾など、伝えるべき情報を漏らさず視覚的に伝えていきます。

商品のポイントとなる部分はアップで写真を撮影しておくと、伝わりやすくなります。

利用シーンを具体的にイメージさせる

モデル着用やコーディネートによって、「いつ着用できるのか」「手持ちの服と合わせられそう」といったイメージを伝えます。

どんなに商品単体が魅力的であったとしても、着ない服や合わせにくい服は購入に至りにくいためです。

商品の紹介方法によっては、小物など、他の商品にも手を伸ばしてもらいやすくなるでしょう。

商品の長所を伝える

「マネキン」「吊り」などの撮影方法の中から、商品の良さが最も引き出される撮影方法を選びましょう。

例えば、シルエットが特徴的なスカートであれば吊るして、ドレープをイメージしやすい撮影を心がけます。

吊りとモデルというように、ひとつの商品でも複数の撮影方法を組み合わせると、よりイメージが伝わりやすくなります。

画像加工について

撮影だけでなく画像加工までが、ささげの「さ」に含まれます。

以下のような編集をして、ECサイトに掲載できるような写真を完成させていきます。

色合わせ写真と商品の色合いの違いを修正
写り込みの消し込み反射や写り込みなどの不要物を修正
切抜き商品を切り抜く編集
トリミング不要な部分を切り抜いてサイズ調整する
リサイズ画像のサイズを拡大・縮小する
ファイル名のリネームファイルの名前をつけて管理する
サムネイル生成トップを飾る画像の作成

撮影した商品の写真をどう編集し、魅力をどう伝えていくかがポイントとなります。

「さ」採寸

ささげの「さ」採寸について、ご説明していきます。

ECサイトでは実際に手にとって商品を選べないので、サイトに記載されている情報だけが頼りです。

採寸が丁寧にされていないとクレーム、返品のリスクが高くなりますので、採寸は重要です。

  • 採寸とは
  • 採寸のポイント

採寸とは

商品のサイズを計るのが採寸です。

アパレルでは縦・横・奥行といった単純な採寸ではなく、着丈や肩幅、バストなどの細かな寸法の表記が必要です。

実採寸だけでなく、素材や原産国の転記も行います。

海外ブランドの商品であったとしても、細かく寸法を表記しておけば購入しやすくなるでしょう。

またサイズによって送料にも影響がでますので、正しく採寸しておかなければいけません。

採寸のポイント

商品のサイズを計り、わかりやすく表記するまでが、ささげの「さ」採寸です。

採寸と表記のポイントを確認しておきましょう。

細部まで採寸する

アパレルのサイズ表記は、以下のような項目があります。

より細かく丁寧に採寸し表記しておくと、購入後のミスマッチがなくなります。

バスト両袖付け下を2倍した値
肩幅両肩先の間
着丈後ろ衿ぐりの中央から後ろ見頃裾まで
袖丈袖山の肩先から袖口端まで
裄丈後ろ衿ぐりの中央から肩先を通り袖口端まで
ウエストウエストの両脇間を2倍した値
ヒップファスナーやボタンを開けてファスナー止まりの位置の直線距離を2倍した値
スカート丈キュロット丈ウエストベルト下から裾まで
パンツ丈ウエストベルト上から裾まで
股下股下の縫い目から裾まで

サイズ表記を統一させる

サイズ表記は商品を購入する際の重要な情報になりますので、商品によってブレがないように統一させるべきです。

採寸した情報を表にしてまとめてもいいですし、絵型で表記すると専門的な用語がわからない人でも視覚的にイメージしやすくなります。

S・M・Lという一般的な表記だけではサイズ感が異なる場合がありますので、「この商品は小さめです」というように表記しておくと親切です。

サイズが異なると返品やクレームの原因となりますので、丁寧にサイズ表記を行いましょう。

「げ」原稿

ささげの原稿についてご説明します。

ECサイトで商品の説明やキャッチコピーを作成するのが、ささげの「げ」原稿です。

  • ecサイトにおける原稿の重要性
  • 原稿のポイント

ECサイトにおける原稿の重要性

商品の写真や素材等の情報にプラスして、テキストで商品情報を補うのが原稿です。

商品の特徴を短く伝わりやすいキャッチコピーにして目を惹くように工夫する、思わず買いたくなってしまうような背中を押す役目があります。

ブランドのターゲット層を意識したライティングだけでなく、SEO対策を散りばめて新規ユーザーの獲得も目指します。

どんなに綺麗な写真を撮って、丁寧な採寸をしても、原稿が未完成な状態では売上につながりません。

原稿のポイント

リピーターも新規ユーザーも、原稿の良し悪しによって購買意欲が掻き立てられるといっても過言ではありません。

ECサイトで意識したいポイントについて、ご紹介します。

基本情報を簡潔に伝える

サイズや素材、原産国といった基本的な情報は、見やすく簡潔にまとめるのが鉄則です。

ユーザーが情報を得たいと思った時に、すぐに閲覧できるように一ヶ所に基本情報をまとめます。

ここでは魅力的なキャッチコピーなどの凝った表現は必要なく、商品情報がわかりやすくなっているかが重要です。

5W2Hを意識する

原稿作業を行う際には、5W2Hを意識すると商品情報が伝わりやすくなります。

商品に合わせて以下のような情報を効果的に発信してみましょう。

5W2H具体例
When(いつ)発売日発売期間
Where(どこで)原産国
Who(誰が)ターゲット層
What(何を)商品の特徴
Why(なぜ)おすすめの理由
How(どのように)利用シーンコーディネート例
How much(価格)価格や送料

SEOを考慮する

ECサイトの原稿で必ず意識したいのが、SEOです。

自社ECサイトであればGoogle検索エンジンに対応させ、ECモールならモール内の検索ロジックに対応できるようにします。

商品名や原稿の見出しだけでなく、本文にも効果的なキーワードを盛り込んでいくといいでしょう。

SEO対策を意識するのであれば、商品の写真撮影前から戦略を練って方向性を決めておくとより効果的な対策が可能です。

アパレルでなぜささげ業務が重要なのか

アパレルのECサイトでは、ささげ業務が売上の要といえるほどに重要です。

なぜささげ業務がそんなに重要なのか、理由をお伝えします。

  • 売上を左右するため
  • 安心感を与えるため
  • クレームや返品を減らすため

売上を左右するため

現代ではインターネットで買い物をするのは日常であり、多くの店舗が数え切れないほどの商品を販売しています。

足を運ばずとも複数の商品が比較できて当たり前の時代なので、ユーザーは買うか買わないかの判断を瞬間的に行っています。

頭で考えるわけでなく、直感的に「欲しい」と思わせられるか否かが、売上のポイントになります。

第一印象で大切なのが、商品の写真です。

ファーストビューで心を掴めなければ、簡単に他店にユーザーを奪われてしまうでしょう。

まずは気に留めてもらえるよう、魅力的な写真を準備するのが売上アップの第一歩です。

安心感を与えるため

インターネットで買い物をして「イメージと違うものが届いた」「こんなはずじゃなかった」という経験がある方も少なくないでしょう。

アパレルは素材の質感や色合いが重要な要素となりますので、情報を正確に伝えて安心感を与えてあげないと購入には至りません。

安心感を与えるためには口コミも重要な情報となりますが、低い評価がついているとユーザーが離れていってしまいます。

「商品の情報が多く掲載されている」「他のユーザーからの高評価が多数」という状態だと、新規ユーザーにも安心感をもってもらいやすいでしょう。

クレームや返品を減らすため

アパレルの商品返品理由で多いのが、「サイズや質感がイメージと違った」というものです。

返品や変更には手間だけでなく時間や費用もかかりますし、場合によってはクレームをいただくかもしれません。

ささげを丁寧に行い、正確な情報を掲載すればクレームや返品を減らせます。

ユーザーが抱く商品イメージとのギャップを可能な限り少なくしていけるよう、注力しましょう。

ささげに必要なスキルとは

ささげ業務には、以下のようなスキルが必要です。

  • 基本的な撮影スキル
  • SNSで発信する力
  • スケジューリング能力・業務の正確さ
  • ライティングスキル
  • 動画で伝える力

ささげの撮影は動画撮影も含まれますので、画像や動画の編集スキルがあるといいでしょう。

SNSで発信するスキル、効率良くスケジュールをこなせられる人は費用や負担を抑えていけます。

原稿には商品を魅力的にアピールするだけでなく、SEOのライティングスキルも必要になります。

このように一言で「ささげ」と言っても、複数のスキルが必要になるとわかります。

ささげの効率化に外注という選択肢

自社でECサイトを運営するため、ささげも自社で行っていくとスタッフの手が回らなくなってしまうかもしれません。

ささげには複数のスキルが必要なので、スタッフの負担になってしまう可能性があります。

さらに仕上がりの質も求めたいとなると、外注という選択肢が視野に入ってきます。

外注にすると委託コストがかかりますが、ささげ業務の手間が省けるので他の業務の効率がアップするでしょう。

経験豊富な委託先を見つけられれば、売上にも繁栄されるでしょう。

ささげ業務は売上の要

アパレルのEC業界での「ささげ」とは、撮影・採寸・原稿を指す言葉です。

商品の魅力を伝えるために、この3つは全て重要な要素となりますので、売上を左右するといっても過言ではありません。

商品の特徴が伝わりやすい写真を撮影するために、編集スキルも欠かせません。

画面上の情報だけでサイズ感が伝わるよう、丁寧に採寸をして、実際に着用したシーンを想定しやすい表記をしておくとクレームや返品を減らせます。

原稿のテキストは、5W2Hを意識して発売期間や利用シーンを具体的に表記しておくと、購入につながりやすいです。

SEO対策も忘れずに、新規ユーザーの目にも留まりやすいよう工夫を散りばめておきましょう。

購入後にイメージのミスマッチがないよう、ささげで正確な情報を伝えられるようにしておきましょう。

参考にしたサイトリスト

https://www.hit-mall.jp/blog/words/column-023.html
https://sasageya.co.jp/service/sasage.php
https://www.kojima-iryo.com/cad/blog/detail/fashion_ec_sasage