倉庫の悩みといえば、暑さ寒さなどの環境問題や延々と続くピッキング、間違えられないプレッシャーや人間関係のコミュニケーションまで、さまざまです。
倉庫は単調で楽な仕事だと思われるかもしれませんが、このような解決すべき問題が山積みなのが現状です。
人間でも解決できない、これらの倉庫の悩みを解決してくれるのはAIかもしれません。
AIとは人間の知的な能力を模倣する技術です。
この技術を倉庫の悩みに活かしていくとどうなるのでしょうか。
倉庫のシフト管理をAIで行うと人間関係が改善!?

毎日の勤務に欠かせないシフトですが、AIの力を借りるとシフト作成が楽になるだけでなく、倉庫内の人間関係までも改善してくれるかもしれません。
一人ずつ紙で希望シフトを提出してもらっているようなアナログ管理をしている現場は、AIで何がどう変わるのかを考えてみましょう。
- シフト提出・回収が楽になる
- 人員配置の最適化
- シフト作成の時間を削減できる
- 「急に休みたい」が叶いやすく
- 希望の休みが偏らなくなる
シフト提出・回収が楽になる
一人一人が紙で希望シフトを提出しているような現場では、シフト管理をする人の負担が大きくなりすぎてしまいます。
「誰が未提出なの?」「1枚どこかにいってしまった!」というような、困りごとが日常茶飯事になっているのではないでしょうか。
いきなりAI導入はハードルが高いと感じるようであれば、GoogleフォームやLINEなど普段から誰もが使い慣れているツールでシフト回収をするなどしてみてはいかがでしょうか。
回収する管理者だけでなく、シフト提出をする人も楽になりますし、”出した/出していない”というやり取りが不要になります。
人員配置の最適化
「月曜日は入荷が多くて忙しいのにいつも同じ人数」「仕事ができる人が一ヶ所に偏ってしまう」というような悩みはないでしょうか。
シフト管理にAIを導入すると、必要な時間に・必要な人数を・必要な場所へ配置できるようになります。
作業不可に応じた人員配置や、需要予測に基づいた最適なリソース分配を考慮できるようになるのです。
もちろん人がシフトを考える上でもこれらを考慮しているはずですが、AIが行うと短時間で、過去のデータに基づいた客観的な分析ができるようになります。
これらを加味したシフトを作成できると、現場ではミスが減り、残業が減るので働きやすい環境へと変化していきます。
シフト作成の時間を削減できる
シフト作成は、勤務時間を圧迫する業務のひとつです。
紙でシフトを集めていると、回収や集計をしてからシフトを組んでいくので何日も時間がかかってしまいます。
例えば、LINEでシフトを回収し、OCRと文字起こし、テーブル化をすれば全員のシフトをまとめたエクセルが完成します。
OCRとは、手書きの書類などをカメラで読み込んで、テキストデータへ編集する光学的文字認識技術です。
このような技術を取り入れれば、シフト作成の時間を大幅に短縮できるようになります。
「急に休みたい」が叶いやすく
急な欠勤や希望変更、繁忙期などの需要変動により、シフトの再調整が必要になる場合があるでしょう。
AIでシフトを作成するツールには、再調整機能がついているものがあります。
従来であれば管理者の頭を悩ませる要素となっていたかもしれませんが、AIの再調整機能があれば代替要員を提案してくれます。
ただAIが必ず代わりの人を確定してくれるわけではなく、あくまでも候補の人を見つけてくれるという段階にとどまります。
最終的な交渉は人が行う必要がありますので、日頃から良い人間関係を築いておかなければいけません。
希望の休みが偏らなくなる
AIがシフト作成をすると、公平な希望反映を徹底してくれます。
人がシフトを作ると、「あの人の休みはいつも通る」「私ばかり我慢してる!」という不満が出てくるかもしれませんが、AIは希望反映率を数値化できます。
公平に休み希望が通るので、信頼感に繋がります。
信頼感がベースになると欠員が出た日など、率先して出勤してくれる人が増える職場になるかもしれません。
作業環境の温度最適化が課題
倉庫の大きな課題のひとつに、倉庫内の温度が暑すぎたり、寒すぎたりという問題があります。
空調がすみずみまで行きわたらない倉庫は多く、夏は熱中症、冬は手先の感覚が鈍るといった悩みがあります。
これらの問題はスタッフの満足度にとどまらず、倉庫の生産性を左右するものであるといえます。
倉庫の温度最適化に関しても、AIが問題解決できるかもしれません。
- AIカメラによるモニタリング
- ウェアラブルデバイス連携
AIカメラによるモニタリング

倉庫内のAIカメラは、温度管理や防犯対策など多様な使い道があります。
温度管理として導入すると、倉庫内の温度差、人の多い場所に左右されずに安定した環境を維持できるようになります。
空調がきいていない場所がなくなるので、どこで作業をしても快適な環境であり、作業効率アップが期待できます。
空調服を使用するなどの対策では個人レベルにとどまってしまいますが、これなら倉庫全体の環境を改善させられます。
ウェアラブルデバイス連携
ウェアラブルデバイス連携とは、スタッフ一人一人が腕時計型やリストバンド型の端末をつけ、状況をAIが把握し現場に活かすシステムです。
個々の体調が一目でわかるようになるので、熱中症の危険がある現場ではリスクが高い人を休憩に入れるというような対策ができるようになります。
ウェアラブルデバイス連携をすると作業効率の可視化もできるようになりますが、あまり細かくすると監視されているような気持ちになるスタッフがでてくるかもしれません。
あくまでもスタッフを守るためのツールとして導入し、お互いに安心して働ける環境を作っていけるようにするといいでしょう。
ピッキングで歩き疲れる
ピッキングをしていると1日1万歩~2万歩歩くという人もいるでしょう。
歩くだけでなく、立つ・しゃがむの繰り返しで重たい荷物を持つので、かなりの重労働になります。
同じ場所を何度も行き来しなければいけませんし、疲労が溜まるとミスが増えてしまうかもしれません。
このようなピッキングの悩みに対し、AIが以下のようにアプローチしていきます。
- ピッキングルートの最適化
- 在庫管理の最適化
- 作業負荷の分散分析AI
- 重量・負荷予測AI
ピッキングルートの最適化

ピッキングを行いながら「同じエリアを往復している」「さっきも同じ道通ったな」という悩みはありませんか。
伝票の順番のままピッキングを行っていると、非効率なジグザグ移動になりがちです。
この悩みを解決してくれるのが、ピッキングルート最適化です。
棚の位置や通路の構造を把握したAIが、最短距離でピッキングできるルートを提案してくれます。
スタッフの疲労が減ってミスが減り、仕事が早くなるという好循環が生まれていきます。
在庫管理の最適化
ピッキングの効率化を目指すのであれば、倉庫内の在庫管理も大切な要素となります。
過剰在庫を減らせば目的の物が探しやすくなるので、ピッキングの無駄がなくなります。
ただ在庫を減らしすぎると逆に欠品のリスクがあり、機会損失を招く恐れがあります。
在庫を正しく管理して適切な在庫量を確保できる状態が求められますので、AIでカバーをしていきます。
AIで在庫管理をすると出荷実績や過去データに基づいた、根拠のある在庫数を提案してくれるようになります。
作業負荷の分散分析AI
倉庫内で、忙しい仕事が偏ってしまってはいないでしょうか。
「午前中は忙しい」「このエリアだけ忙しい」というような作業量の偏りを判断し、負荷が分散してくれるように提案してくれるのがAIです。
作業負荷の分散分析AIは、作業時間ログや出荷量、歩行距離など多数の情報を把握し、どこに作業が集中してしまっているかを数値で出してくれます。
その数値から人数配置を変更したり、負荷が高い人を察知してローテーションさせるなどの対応ができるようになります。
重量・負荷予測AI
倉庫では重たい荷物も多数あり、お水の段ボールばかり運ぶというような体力的にきつい日がでてくるかもしれません。
いくつ荷物を運んだか件数だけではわからない負荷がかかり、件数が少なくても全てが重量のある荷物だと、かなり厳しい状況となってしまいます。
AIは、重量データや注文内容、作業時間や歩行距離など一人一人の負荷を見える化してくれます。
従来は件数だけを見て人員配置をしていたという倉庫でも、このAIを取り入れれば同じ人に負荷がかからないよう調整したり、腰痛・事故などのリスクを事前に回避できるようになります。
人間関係が複雑で離職率が高い
このように体力的に負担が大きな仕事ではありますが、それでも倉庫の仕事に就いている人は倉庫の仕事に魅力を感じているからです。
「人とのコミュニケーションが少なくていい」「淡々と作業をする仕事が自分に向いている」と感じている人が少なくないのではないでしょうか。
そんなメリットがある一方で、「休憩室で気を遣う」「ベテランさんとの接し方がわからない」とストレスを感じている人がいるのも事実。
倉庫は人間関係による離職率の高さが課題となっており、この課題にもAIが活用できる可能性があります。
メンタルヘルス改善のAI

メンタルヘルスの改善AIを使えば、不調の兆候を早めに察知できるようになるかもしれません。
AIで従業員の心のサポートをして、離職率・休職率が半分以下になったという導入実績があるツールがあります。
参照:メンタルヘルスさくらさん
AIは匿名で相談できるし、悩みをジャッジするような対応はしません。
話を聞いてもらえるだけでも心がすっきりするという人は多くいますが、話相手がいなければ発散先がありませんのでAIで対応していくといいでしょう。
スタッフのメンタルを守るのは健康を守ることであり、倉庫内の人間関係改善に繋がります。
AIでできないことを理解する
このように倉庫の現場にAIができる事柄は、複数あります。
ただどんな導入目的にとっても言えるのは、AIは問題そのものを解決してくれるものではないということです。
シフト管理をAIで行うからといって、欠員が出たときに代わりに働いてくれるわけではありません。
代替要員の提案はできますが、欠員のフォローまでしてくれるわけではないのです。
ウェアラブルデバイス連携で、スタッフの体調を管理したとしても、その数値を活用しなければ意味がありません。
AIは上手に使えれば意味のある情報となりますが、情報だけを集めても意味がありません。
AIを導入する際には、どう活用していくかという部分まで考えておかなければいけません。
AIを使う人と使われる人
AIはあくまでも情報を材料として提示してくれるだけで、最終的に判断をするのは人です。
「AIが言ってるから」と鵜呑みにして、AIに振り回されてしまっては導入の意味がありません。
最終的に決めるのは人であり、責任も人にあるのです。
AIの役割は”気付かせる”ところまでで、その先をどう使うかは人次第です。
それを理解してAIを道具として使いこなせれば、強力なパートナーとなってくれるでしょう。
AIを使うには研修が大事
「AIはまだ早い」「大企業が使うもの」と思われがちですが、小さな倉庫でも活用方法はたくさんあります。
AIは人間の仕事を奪う”敵”のようなイメージを持っている方が少なくありませんが、使いこなせれば”相棒”に変わります。
どんなツールも使う人の価値観や知識が大切なので、AI研修を受けるのがおすすめです。
「とりあえず使ってから様子を見てみよう」という感覚ではなく、目的をもってAIを使えば効果を最大限に引き出していけるようになるでしょう。
AI×物流が描く未来
倉庫にAIを導入していくと言われると、ロボットだけが働く無人倉庫をイメージする方がいるかもしれません。
しかしお伝えした通り、AIはあくまでもツールに過ぎません。
体力勝負だった倉庫の現場は、AIの導入により仕組み勝負に変化していくでしょう。
ベテランの勘と経験が支えていた現場は、数値が可視化されたデータ管理へとなっていきます。
見えなかったものを見えるようにし、人が働きやすい環境を整えてくれるのがAIです。
AIを使う側になった時、生産性や人間関係の向上など目に見える効果が出てくるようになるでしょう。



