インターネットの普及により、ECサイトから商品を購入する消費者が増えている中で、アパレル業界でもECサイト運営に力を入れる企業も増えてきました。
ECサイト運営は業界によって売上に繋げるための運用方法などが異なるため、アパレルECにて利益を伸ばすためには、知識やスキルを身につける必要があるのです。
本記事では、アパレルECの運営における業務内容や求められる能力について解説します。
アパレル業界におけるEC運営の課題や解決方法についてもご紹介しますので、この記事を参考に、適切な運営と売上アップに繋げていただけたら幸いです。
アパレルECとは
そもそもECという言葉は「Electronic Commerce」の略語であり、日本語では「電子商取引」と訳されるもので、インターネット上で行われる商取引全般を指します。
アパレルとは一般的に衣類を表す言葉なので「アパレルEC」とは、オンライン上での衣類の販売やそれに関連するサービスのことです。
アパレル業界はコロナ禍の影響もありオンライン販売が増えたため、アパレルECの市場規模が年々増加傾向にあります。
アパレルECサイトの種類
アパレルECサイトは、大きく以下の3つに分けることができます。
- ECモール通販
- メーカー・ブランドの直営通販
- 個人経営通販
ECモール通販は、楽天市場やAmazonなどのECモールへ商品を出品して販売を行うもので、他にも、実店舗を持つメーカーやブランド、もしくは個人で経営するブランドが独自で運営するECサイトで商品を販売するケースもあります。
それぞれのメリット・デメリットは以下の通りです。
ECサイト | メリット | デメリット |
ECモール通販 | ・集客力が高い・商品の露出機会が多い | ・競合が多い・ECモールへの利用料や使用料が発生する・顧客情報を自社で管理できない場合がある |
メーカー・ブランドの直営通販 | ・実店舗との連携がとれやすい・リピート率を向上させやすい・ファンを獲得しやすい | ・実店舗やブランドの高い認知度が必要・顧客が限定的になる・EC運営を自社で行う必要がある |
個人経営通販 | ・ランニングコストを抑えられる・独自の世界観を出せる | ・集客が難しい・ECサイト運営を自社で行う必要がある |
アパレルECの業務内容
ECサイトの運営において、業務内容が多岐にわたるため、運用業務の効率化のためには業務全体を把握しておくことが重要です。
アパレルECの主な業務は、大きく以下の3つに分類されます。
- フロント業務
- バックエンド業務
それぞれの違いや特徴を詳しく見ていきましょう。
フロント業務
アパレルECにおけるフロント業務は、主に「商品を販売するための業務」を指します。
具体的には以下の通りです。
- マーケティング
- 仕入れ
- ECサイトの制作・改善
フロント業務は結果が明確な数字となって出るもので、売上に繋がる重要な役割を担っています。
マーケティング
マーケティングは、ユーザーにサービスや商品に興味を持ってもらうために販促宣伝を行う業務です。
SEO対策やリスティング・アフェリエイト広告、SNS運用などのサイト集客のための施策や、キャンペーン企画など商品の販売促進を行う企画の立案などを行います。
仕入れ
商品のトレンドや販売予測に基づき、商品の仕入れを行います。
流行は変わりやすいため、マーケティング業務と同様に常に最新の情報を取り入れる必要があるでしょう。
また、商品の原価や販売、促進活動に係るコストなども考慮しつつ、商品の仕入れを行わなければなりません。
ECサイトの制作・改善
ECサイトで自社の商品を売るためには、ユーザーに商品の魅力を伝えるためのWebページが必要です。
ECサイトの種類によっても異なりますが、ショップページや商品ページなど、自社のアピールポイントを考慮したECサイトを構築します。
また、制作するだけでなく、ECサイトの導線を改善したり、訴求力のあるページに内容を変更したりするなど日々改善していく必要があります。
バックエンド業務
アパレルECにおけるバックエンド業務とは、主に「商品を管理する業務」です。
具体的には以下の業務を行います。
- 在庫管理
- データ登録
- 商品の受発注・梱包・出荷
- カスタマーサポート
売上には直結しませんが、どれも正確性が求められ、適切な対応がファンやリピーター獲得に繋がるものです。
在庫管理
倉庫内の在庫管理や、入荷時や出荷時の商品の検品を行います。
品質管理だけでなく、注文を受けた際に商品を効率的に発送できるよう、在庫回転率を考慮しながら適切に管理・保管する必要があります。
データ登録
顧客からの注文を受けるためにはデータ登録も欠かせません。
商品の名称や価格などの基本情報の登録をしたり、データ登録に必要な「撮影」「採寸」「原稿(ライディング)」などを行うささげ業務を行ったりします。
データ登録には正確性や作業スピードの速さが求められます。
商品の受発注・梱包・出荷
バックエンド業務の中心となるのが、商品の受発注管理や梱包・出荷作業です。
受注業務では、顧客からの注文受付、在庫の有無の確認、在庫引当、商品や顧客のデータ管理などを行います。
梱包は地道な作業になりますが、顧客の満足度を高めるため重要な工程です。
カスタマーサポート
アパレルECにおいても顧客対応は欠かせません。
商品の配送が遅延したり、破損などがあったりすれば、クレームが入ることもあるため、誠実に対応する必要があります。
適切な顧客対応は自社のファン獲得やリピーターにも繋がるため、重要な業務であると言えるでしょう。
アパレルEC運営に求められるスキル
アパレルEC運営において、売上を伸ばすために以下のスキルが必要です。
- デザインスキル
- 数字分析スキル
- マネジメントスキル
- Webマーケティングスキル
- コミュニケーションスキル
パソコンさえ使えればできるものではなく、様々な能力を磨いておく必要があるのです。
それぞれ具体的に説明していきます。
デザインスキル
ECサイトのデザインは、売上を左右する大きな要因となるため、高いデザインスキルが求められます。
見づらかったり、使いづらかったりするサイトは、ページの離脱や売上ダウンに繋がるため、消費者が求める商品がどこにあるのか、どのような商品なのかといった見やすさはもちろん、購入までの流れが簡易的であるかを考慮したサイト設計にすることが重要です。
購入導線をしっかり設計できていれば、商品が購入されやすくなるでしょう。
数字分析スキル
アパレルECに限ったことではありませんが、ECサイトの運営において、「どのページが多く閲覧されているか」「広告がどのくらいの売上に繋がっているか」といった、細かい数字の調査や分析が欠かせません。
実店舗がなく顧客の反応を直接確認できないため、データから商品や顧客の行動に関する情報を読み取る必要があるのです。
自社サイトに訪れたユーザー数と実際に購入してくれた人の割合、商品の売れ筋や広告の集客効果などの分析によって今後の商品展開や広告運用に役立てられ、売上アップに繋がります。
マネジメントスキル
アパレル企業のうち、ECサイトでの販売をメインとしているところは少ないのが現状です。
実店舗での売上が多くを占めている場合は、アパレルECにたくさんの人員を割けないため、このように少ない人数で商品の企画から実行に至るには、マネジメントスキルの高いリーダーがメンバーをまとめる必要があります。
マネジメントスキルが高いEC担当者がいれば、営業や制作チームなど社内のメンバーはもちろん、外注先とのコミュニケーションを円滑にし、連携をとることができるため、効率的なEC運営を行えるようになるでしょう。
Webマーケティングスキル
実店舗であれば、お店を見かけた人が訪れて購入に至る可能性がありますが、アパレルECの場合は、ユーザーにサイトを発見してもらわなければ、自社サイトを見てもくれません。
そのため、集客対策としてWebマーケティングスキルが必須となります。
具体的なWebマーケティング手法としては以下のとおりです。
- SEO対策
- SNS運用
- リスティング広告
- アフィリエイト など
特にInstagramやTwitterなどのSNSはターゲット層に向けた効果的な訴求が可能となりますし、自社サイトへの直接的な導線にもなるため、様々な取り組みを行うことが重要です。
コミュニケーションスキル
ECサイト運営において、購入前の質問や購入後のクレーム対応やアフターフォローなど、ユーザーとのやり取りが発生するケースも多いです。
その中で、冷たい・そっけないメールや電話対応をしてしまうと、ユーザ間とのトラブルに発展してしまうケースもあるため、相手の気持ちに配慮した高いコミュニケーションスキルが求められます。
相手の顔が見えないぶん、ユーザーとのコミュニケーションにも注力すると、サイトのファン獲得に繋がる可能性があるのです。
アパレルECにおける課題と解決策
アパレルECは、実店舗に行かずとも商品を気軽に購入できるというメリットがあるものの、オンラインならではの課題もあります。
具体的には以下の通りです。
- 着用イメージがしづらい
- サイズが分かりにくい
- 他のアパレルECとの差別化をはかる必要がある
- 社内にEC業務に精通している人がいない
ここでは、アパレルECにおける問題点と解決方法をご紹介します。
着用イメージがしづらい
商品を直接手にとれないため、シルエットや素材を把握できないケースが多く、ユーザーが着用した姿をイメージしづらい点が課題の一つです。
そのため、商品の魅力が分かりにくく購入に繋がらなかったり、購入後にイメージと違ってリピーターを増やせなかったりといった問題も出てくるでしょう。
問題解消のためには、ECサイト上もしくはInstagramなどのSNSにて商品を着用したコーディネート写真や動画を掲載したり、ライブ配信などによってユーザーからの質問に直接対応できるようにしたりするなどして、着用イメージがつきやすくすることが重要です。
サイズが分かりにくい
アパレルECは実店舗と異なり、試着ができないためサイズが合っているか分かりにくいという問題があります。
そのため、「サイズが合わなかったらどうしよう」と不安に思い、購入を諦めるユーザーも多いです。
アパレルECの中には、この問題を解決するために、ユーザーレビューが充実していたり、前回購入した商品をもとにおすすめのサイズを提案してくれたりするサイトもあります。
また、サイズが合わなかったときに無料でサイズ交換や返品などの対応をするなどして不安を解消することで、多くのユーザーが気軽に利用できるようになるでしょう。
他のアパレルECとの差別化をはかる必要がある
コロナ禍の影響もあり、ECに参入するアパレル企業は増加傾向にあります。
多くのアパレルECが溢れている中で、自社の商品を購入してもらうためには、以下のように他との差別化をはかる必要があるのです。
- 商品に付加価値をつける
- 商品ラインナップを充実させる
- 価格を見直す
- ターゲット層を明確にする
- シェア機能や口コミを活用する
- ECサイトの機能を充実させる
- SNSを活用してユーザーとの接点を増やす
このように、たくさんのブランドの中からユーザーに「ここで買いたい」と思ってもらえるようなブランディングに取り組むと良いでしょう。
社内にEC業務に精通している人がいない
実店舗が売上の大半を占めている場合、ECサイトの業務も実店舗のスタッフが行っているケースも多いです。
しかし、ECサイトでの売上増加に繋げるためには、デザインスキルやWebマーケティングスキルなど、様々なスキルが必要になるため、実店舗での営業スキルだけでは売上が伸びない可能性があります。
効果的なアパレルECを運用するためには、膨大な情報を一元管理できるシステムを導入したり、業務を外部のプロに委託したりする方法が有効です。
スキルを身につけて効果的なアパレルEC運営をしよう
アパレルEC運営には様々な業務があり、売上に繋げるためには以下の高いスキルが求められます。
- デザインスキル
- 数字分析スキル
- マネジメントスキル
- Webマーケティングスキル
- コミュニケーションスキル
トレンドは常に変わっていくため、それに伴ってアパレルECも日々アップデートしながら運営していく必要があるのです。
ECサイト運営におけるリソース不足に悩んでいる場合は、EC運営のプロに任せるという選択肢もあるため、効果的な広告運用を行い、売上アップを目指しましょう。
参考記事
アパレルECとは?市場動向・EC業務の仕事内容や求められるスキルを詳しく分析 | iDAマガジン
アパレルECに必要なスキルは7つ!仕事内容や未経験でもできるかを解説 | FASTMAKE
ECサイト運営完全ガイド:仕事内容の詳細から必要なスキル、向いてる人の特性まで | サイバーレコードBlog
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