出荷業務とは、顧客からの注文に応じて生産された商品を準備し、最終的に顧客へ届けるために発送する一連のプロセスを指します。
本記事では「出荷業務とは」について紹介していきます。
他にも「出荷指示でやらないといけないこと」や「出荷業務の流れ」についても解説していきます。
ぜひこの記事を参考にして、出荷業務について理解を深めてみてください。
出荷業務とは?
出荷業務とは、顧客からの注文を受けた商品を準備し、顧客の元へ届けるために発送する作業のことを指します。
販売プロセスにおいて、顧客の注文を受けた後に最初に行う作業であり、納期内に商品を届けるために重要な役割を果たします。
また、出荷業務を現場で実行する際に与えられる指示のことを「出荷指示」といいます。
出荷指示でやらないといけないこと
出荷指示でやらないといけないことについては、以下の6つが挙げられます。
- スケジュール管理
- 分別して出荷指示をおこなう
- 部分出荷への対策
- 出荷完了後にデータ入力する
- 出荷管理を効率化する
- イレギュラーな出荷のルールを明確にする
それぞれの項目について解説していきます。
スケジュール管理
出荷指示でやらないといけないことについては、スケジュール管理が挙げられます。
出荷指示を早めに出すことで、スケジュールの管理が容易になり、納期遅延のリスクを減らすことができます。
理想的には、納期の3日前までに出荷の予定を現場に伝えておくと、作業に十分な余裕を持たせることができ、業務のスムーズな進行が期待できます。
分別して出荷指示をおこなう
分別して出荷指示をおこなうことによって、出荷ミスを減らすことにもつながります。
実際に、多数の商品を取り扱う際には、出荷ミスが発生しやすくなることがあるので、適切な分類と出荷指示の管理が重要です。
一つの分類方法に頼るのではなく、納期や顧客ごと、または商品の種類ごとに分類して出荷指示を行うことで、ミスの削減だけでなく、ピッキングや梱包作業の効率化も期待できます。
部分出荷への対策
出荷指示でやらないといけないこととして、部分出荷への対策をしっかりとおこなうことが必要です。
部分出荷とは、顧客からの注文内容によっては、先に一部の商品だけを出荷するケースのことを指します。
出荷管理に使っているシステムによっては、設定によって一部しか出荷していないにもかかわらず、すべての商品が「納品済」として処理されてしまうことがあるため注意が必要です。
このように、部分出荷への対策として、事前にシステム設定を見直すか、分割出荷が必要な場合には別の処理方法を採用するなどの対策が重要です。
出荷完了後にデータ入力する
出荷完了後は、迅速にデータを入力することが重要です。
データ入力をすることによって、全体の作業の進行状況を把握できるだけでなく、売上の計上も迅速に行うことが可能になります。
特に出荷量が多い場合には、データ入力や登録作業にかかる労力と時間を考慮する必要があります。
例えば、事前に注文コードを印刷しておくなどの準備をすることによって、出荷が完了した時点でスキャナーでコードを読み取ることができ、手作業での入力を省略できます。
出荷管理を効率化する
出荷作業を効率よく管理することは、出荷ミスを減らすために非常に重要です。
まず、作業の標準化を進めることによって、作業手順のばらつきを抑え、安定した品質での出荷が可能になります。
また、定期的な清掃や整理整頓を実施することで、倉庫内の物品が紛失したり、在庫が見落とされて劣化するリスクを減らすことができます。
さらに、出荷管理システムの導入も有効で、リアルタイムで出荷状況を把握し、情報を共有することが可能になり、出荷プロセスの透明性と効率性を向上させることができます。
これらの対策を組み合わせることで、全体的な出荷管理の効率化を図り、結果として出荷ミスの発生を抑えることが期待できます。
イレギュラーな出荷のルールを明確にする
イレギュラーな発注に対する対応方法を明確にすることは、出荷時のトラブルを未然に防ぐ効果があります。
例えば、「一部の商品だけを先に出荷してほしい」といった依頼があった場合、システム上で「未納」または「全納」しか選択肢がないと、現在どの程度出荷されているのかが把握しにくくなります。
そのため、部分的な出荷にもかかわらず「すべての品が出荷された」と誤解される可能性があり、商品が未納のまま残ってしまうことでトラブルが発生するリスクがあります。
このように、イレギュラーな出荷に対してどのように対応するかについて、ルールを明確にするようにしましょう。
出荷業務の流れ
出荷業務の流れについては、以下の5つが挙げられます。
- 出荷指示書の作成
- 出荷準備
- 必要書類の作成
- 出荷・納品
- 売上伝票の作成
それぞれの流れについて解説していきます。
出荷指示書の作成
顧客からの注文を受け取った後、出荷指示書を作成します。
出荷指示書は、注文された製品の詳細情報—品目、型番、数量、単価などを基に作成していきます。
最近では、倉庫管理システム(WMS)と呼ばれる、在庫管理や商品の入出庫をサポートするシステムを使用して出荷指示書を発行することが一般的です。
これにより、出荷ミスのリスクを減少させ、業務の効率化が進められています。
出荷準備
受注に基づいて作成された出荷指示書に従い、出荷準備を進めていきます。
倉庫では、製品をピッキングし、指示書に記載された数量を正確に揃えます。
その後、梱包作業や配送業者の手配を行い、ピッキングした製品の検品もこのタイミングで実施していきます。
必要書類の作成
出荷する際には、出荷するものだけでなく、さまざまな書類を作成する必要があります。
具体的には、以下の3つが挙げられます。
- 納品書:発注通りに製品が納品されたことを確認するための書類
- 受領証:顧客が商品を受け取ったことを記録するための書類
- 領収書:支払いが完了し、代金が受領されたことを証明する書類
また、納品書は社内の管理目的での控えも必要とされることがあるので、あらかじめ注意が必要です。
出荷・納品
製品と必要な書類の準備が整ったら、顧客への納品を行います。
ピッキングを終えた製品を手配済みの配送業者のトラックに積み込み、指定された日時に納品します。
一般的には配送業者に依頼し、トラックでの配送が行われますが、顧客が近隣にいる場合には、自社のスタッフが直接商品を届けるケースもあります。
配送が終了し、受領証が返送されれば、納品が正式に納品が完了したことになります。
売上伝票の作成
納品が問題なく完了した場合は、納品書の控えなどを参照して売上伝票を作成します。
通常、売上日や商品名、金額などの情報を記載しますが、出荷番号や取引先コードも一緒に記載しておくことで、管理がよりスムーズになります。
売上が確定した後には、帳簿に取引内容を記録し、受領書を正確に管理することで、顧客との引き渡しに関する問題を未然に防ぐことができます。
出荷業務を行う際の問題点
出荷業務を行う際の問題点については、以下の3つが挙げられます。
- 在庫状況の情報共有不足
- 追加注文や取り消しの反映が遅れる
- 売上確定まで時間がかかる
それぞれの問題点について解説していきます。
在庫状況の情報共有不足
顧客からの注文に正確に対応するためには、在庫状況を常に最新の状態で把握していることが不可欠です。
しかし、実際には、生産や在庫の変動が頻繁に発生し、それに伴う情報共有が不足することで、適切な対応が難しい場合が多く見られます。
特に、在庫管理をExcelやスプレッドシートで行っていると、手入力の手間がかかる上に、頻繁に変わる状況に追いつけないという課題が生じてしまいます。
追加注文や取り消しの反映が遅れる
出荷業務を行う際の問題点として、追加注文や取り消しの反映が遅れてしまうことが挙げられます。
実際に、顧客の注文内容が変更されることはよくあります。
例えば、追加注文が発生したり、注文がキャンセルされることも考えられます。
注文が確定した後でデータが変更されると、その情報を適切に共有することが難しくなり、その結果として、余分な作業が増えたり、納品ミスや納期の遅延、さらにはビジネスチャンスを逃すリスクが高くなってしまいます。
売上確定まで時間がかかる
企業が売上を向上させて利益を確保するためには、商品の受注から出荷、そして売上が確定するまでのプロセスを迅速化することが重要です。
このプロセスにおいて、受注から納品、売上の確定までの手順が明確でなかったり、効率的でない場合、無駄な時間がかかることが多く見受けられます。
このように、受注から売上確定受注まで時間がかかることは出荷業務を行う際の課題の一つといえます。
出荷業務のミスを防ぐ対策
出荷業務のミスを防ぐ対策については、以下の3つが挙げられます。
- スタッフの配置を最適化する
- 適切な作業スペースを保つ
- 出荷管理を効率化するツールを活用する
- チェック体制を見直す
それぞれの対策について解説していきます。
スタッフの配置を最適化する
各業務に専任の担当者が一人しかいない場合、エラーを見逃したまま業務が進行するリスクが高まります。
また、人的リソースが不足している部署では、確認不足によるミスが発生しやすくなります。
そのため、出荷業務に携わるスタッフの配置を再検討し、エラーが起きにくい体制を整えることが重要です。
さらに、スタッフにはそれぞれ得意分野と苦手分野が存在するので、各スタッフの特性に合わせた業務を割り当てることで、ミスを減らす効果も期待できます。
適切な作業スペースを保つ
出荷作業を行うスペースが狭いと、荷物の取り違えや伝票のミスが発生しやすくなります。
また、商品が破損する可能性も高くなるため、作業に携わるスタッフが必要と感じる十分な広さを確保することが重要です。
さらに、作業スペースの清掃や整理整頓は、さまざまなミスを減らす効果があるので、余計な物が混ざり込んだり、商品が汚れたりすることを防ぐために、常に清潔な状態を維持しましょう。
出荷管理を効率化するツールを活用する
出荷管理業務にはさまざまな工程が含まれており、それぞれの課題や人的ミスをいかに減らし、業務を効率化するかが重要です。
具体的に、出荷管理を効率化するツールについては、以下が挙げられます。
出荷管理効率化ツール | 特徴 |
発注管理システム | 発注から納品までのプロセスを一元的に管理できるシステムです。依頼書の作成や仕入れ先の選定、注文書の作成などを自動化することで、効率的に業務を進めることができます。 |
出荷管理システム | 顧客からの注文に基づいて商品を正確に出荷し、納品までの一連の流れを管理するシステムです。ミスの防止や業務のスムーズな進行をサポートします。 |
受発注システム | 受注から発注までのプロセスを一元管理し、業務の効率化を図ることができるシステムです。業務のスピードと正確性を向上させることが可能です。 |
在庫管理システム | 過剰在庫や欠品、不良在庫などを防ぐために、在庫情報や入出庫情報を正確に管理するシステムです。在庫状況をリアルタイムで把握し、適切な在庫管理が可能になります。 |
RFIDやバーコードの活用 | 製品や商品にRFIDタグやバーコード、QRコードを付けることで、スキャンするだけで在庫情報や商品情報を迅速に管理できます。この技術は、検品やピッキング、在庫管理の現場で幅広く利用されています。 |
出荷業務のミスが増えてしまうと、客先からの信頼度が下がってしまい、機会損失が増えてしまうので、出荷管理を効率化するツールを活用することをおすすめします。
チェック体制を見直す
出荷業務のミスを防ぐ対策として、チェック体制を見直すようにしましょう。
具体的には、以下のような内容に誤りがないように、徹底的なチェック体制を見直すようにしましょう。
- 商品の種類
- カラー
- サイズ
- 数量
- 納品書や送付状の内容
チェック体制の精度を向上させるためには、目視に頼るのではなく、システムを利用したチェックが有効です。
また、確認作業を一人で行うのではなく、二人一組でダブルチェックを行うことも一般的な対策とされています。
出荷業務のミスを無くそう!
今回は、出荷指示でやらなければいけないことや出荷業務の流れを紹介しました。
出荷業務とは、顧客からの注文を受けた商品を準備し、顧客の元へ届けるために発送する作業のことを指します。
また、出荷指示でやらなければいけないことについては、以下の6つが挙げられます。
- スケジュール管理
- 分別して出荷指示をおこなう
- 部分出荷への対策
- 出荷完了後にデータ入力する
- 出荷管理を効率化する
- イレギュラーな出荷のルールを明確にする
今回の記事を参考にして、出荷業務のミスを無くしましょう。